管理職の評価に入れておくべき数値評価「部門の残業時間数」
- コンサルタント熊野
- 9月22日
- 読了時間: 4分

こんにちは、コネクションリンクの熊野です。
この記事では下記内容についてお伝えします。
1.はじめに |
「どうすれば、社員の残業時間を減らせるだろうか…」
多くの企業の経営者や人事担当者、そして管理職の皆さんが、
この課題に頭を悩ませているのではないでしょうか。
長時間労働は、社員の心身の健康を損なうだけでなく、
企業の生産性低下や離職率の増加にもつながりかねません。
しかし、「残業するな」と号令をかけるだけでは、問題は解決しません。
むしろ、事態を悪化させてしまう危険性すらあります。
今回は、多くの企業が見落としがちな「評価制度」の観点から、
残業時間を本質的に削減し、【部門の生産性を上げ、
ひいては会社全体の業績アップにもつながる効果的な評価指標】についてご紹介します。
2.「個人の残業時間」を評価してはいけないのか? |
残業を減らすために、手っ取り早く「個人の残業時間」を評価項目に設定しよう
と考えるかもしれません。しかし、これには大きな落とし穴があります。
個人の評価項目に「残業時間の少なさ」を入れてしまうと、何が起こるでしょうか?
「まだ仕事が山積みだけど、残業すると評価が下がるから帰らないと…」
このように考える社員が出てきてしまいます。
結果として、「本来やるべき業務が終わらないまま退勤したり、
隠れて持ち帰り残業をしたりする」といった、本末転倒な事態を招きかねません。
これでは、仕事の質が低下し、見かけ上の残業が減るだけで、
根本的な解決にはなりません。
3. 解決策は「部門の残業時間」を管理職の評価に入れる |
では、どうすれば良いのでしょうか。
答えは、評価する対象を「個人」から「管理職」へ、評価する指標を「個人の残業時間」から「部門全体の残業時間」へシフトさせることです。
管理職の評価項目に「部門の残業時間数」を設定することで、管理職はこれを他人事ではなく「自分自身の重要課題」として捉えるようになります。
単に「部下に早く帰れ」と指示するのではなく、
「なぜ、私たちの部門は残業が発生しているのか?」
「どうすれば、チーム全員が効率的に働き、定時で成果を出せるのか?」
といった、より本質的な改善に主体的に取り組むようになるのです。
4. 管理職が取り組むべき3つの具体的なアクション |
「部門の残業時間」という評価は、
管理職に具体的な行動変容を促します。
ここでは、代表的な3つのアクションをご紹介します。

1. 適切な仕事の割り振り(業務の平準化)
特定の優秀なメンバーにばかり仕事が偏っていませんか?
管理職は、各メンバーのスキルやキャパシティを正確に把握し、
業務負荷が均等になるように調整する「交通整理役」を担う必要があります。
業務を平準化することで、チーム全体のパフォーマンスは安定し、
特定の誰かが燃え尽きてしまうのを防ぎます。
2. 部下の教育と育成
目先の業務をこなすだけでは、部門の生産性は頭打ちになります。
部下がスキルアップすれば、一人ひとりの業務効率は自然と上がります。
管理職は、OJTや1on1、研修の機会などを計画的に設け、
チーム全体の能力を底上げすることが求められます。
これは、「未来への投資であり、最も効果的な生産性向上の手段」です。
3. 部門を越えたリソース確保
急な退職者が出て人手が足りないなど、
自部門だけでは解決できない問題も発生します。
そんな時、ただ待つのではなく、他部署に応援を要請したり、
上長や人事に働きかけて迅速な採用や配置転換を求めたりすることも、
管理職の重要な仕事です。
「自分のチームを守り、成果を出すために、部門の枠を越えて主体的に動く」
ことが不可欠です。
5. 残業時間は「部門の健康状態」を示すバロメーター |
「部門の残業時間数」という指標は、単に残業を抑制するためだけのものではありません。これは、「部門の健康状態」を示す重要なバロメーターなのです。
残業が多いという「症状」の裏には、
* 業務フローの非効率
* 慢性的な人員不足
* メンバーのスキル不足
* コミュニケーション不全
など、様々な「病気の原因」が隠されています。
この指標を定点観測することで、部門が抱える課題を早期に発見し、
悪化する前に対策を打つ「健康診断」のような役割を果たします。
6. まとめ |
「部門の残業時間数」のような適切な指標を
管理職の評価制度に設定することは、
管理職自身のマネジメント能力向上を促し、
部門全体の働き方改革を強力に推進します。
そして、それは最終的に会社全体の生産性向上と業績アップへとつながっていくのです。
形骸化しがちな評価制度を、この指標を導入し、
組織を成長させるための強力なツールとして有効活用してみてはいかがでしょうか。



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